人が立ち入らないところにはとてつもないお宝が眠っていることが多い。
というのは僕の持論だけど、割と当たってると思う。
そうしてそこそこ名の知れたトレジャーハンターになった頃、僕は今まで以上に価値のあるお宝を求めて静かなる森へと足を踏み入れた。
確かに静かなると言われているだけあってこの森は生き物の気配が全くしない。
それどころか風で葉が擦れる音も水のせせらぎも何一つ聞こえない。僕が落ち葉を踏む音と息遣いだけが響いている。
だけどそれ以外は何の変哲もないただの森だ。
ではなぜこの森は絶対立ち入ってはいけないと言われているのだろう?
でもそういうところほど何かどデカいすごいお宝が眠っているはず。
どんなお宝だろうなあ。めちゃくちゃ楽しみだ!
……彼は知らなかった。
生き物が吸い込んだら幻覚作用と知能が低下してしまう毒が木の葉から常時放出されていることを。
この森の宝が命を吸い取るものだということを。
命を吸い取れば吸い取るほどその力が増していくことを。
彼は果たして森の一部となるのか、ならないのか。
それは森と彼の気力次第……
5/10/2025, 12:04:32 PM