圧倒的にペンギン

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今日は友達と街のパトロールを行っている。
これも自宅警備員の活動の一環である。
けっして親に家から追い出されたわけではない。けっして。
ちなみにパトロールとは皆さんのご想像の通りボランティア活動のことである。
この暑さの中、熱中症で倒れている人を見つけては介抱しお礼として身ぐるみ全てを頂く尊い活動である。

「今日は獲物が少ないな」
流石に連日の熱暑で出歩く人も少ない。
そこに
「お?」
フラフラしている人を発見した。
アイツにとどめを刺せば熱中症患者の出来上がりである。
私は倒れそうな人にタックルをすべく駆け出した。が。

「ぐはっ」
足がもつれ転んでしまった。
しかも下はアスファルトの道なので死ぬほど熱い。
「ぎゃああああー」
まるで熱した鉄板のようである。
さらに悪いことに今日は全身に強力な接着剤を付けているので体も起こせない。
私は焼かれ続けた。死ぬかも。

そこに
「大丈夫かー」
友達が追いついた。持つべきものは友である。
友達は言った。
「お前だけに痛い思いはさせない」
そして彼は私の隣に倒れ込んだ。
「ぎゃあああああー」
彼は絶叫した。暑さで頭がおかしくなったようだ。

この状況はまずい。
2人で死ぬしか無いのか。
私が焦っていると、通りすがりの正義マンが声をかけてきた。
「今助けますよ!」
やった。ついに助かる。

しかし正義マンは足をもつれさせ転んでしまった。
「ぎゃああああああー」
彼も全身に接着剤を付けていたので起き上がれない。

全身に火傷を負い、2人の尊い命は失われた。

友達は途中で飽きて帰っていた。

7/29/2023, 2:48:17 PM