霜月 朔(創作)

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誰かしら?




オレは、オレを罰する。
亡き母に向かい、
何度も何度も、
謝罪を繰り返す。

「要らない子」だと、
分かっていた。
それでも――
ただ、見て欲しかった。

だから、オレは必死に、
母の言いつけを守った。
いい子でいようとした。
それなのに。

母の口から零れた言葉は――
「誰かしら?」
その一言が、
オレの存在を切り裂いた。

ずっと、ずっと、
母の声が欲しかったのに。
でも。
欲しかったのは、
こんな言葉じゃない。

だから、オレは今夜も、
オレを罰する。

愛されなかった、
出来損ないの人形に、
鞭を振るい、痛みを刻む。

顔に、腕に、背に、
鮮血が滲み、
オレの身体を、
朱に染めていく。

今は亡き母へ――
赤い花の代わりに、
この痛みを捧げるから。

だけど、オレの謝罪は、
天に届きはしないだろう。
ただ、冷たい床に、
落ちて、砕け散るだけ。

3/2/2025, 4:09:40 PM