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「あの時やり直せたらって思ったことある?もし過去や未来に行ける機械があったら使いたい?」

 君はいつだって突拍子もないことを言い出すんだ。さすがに考えたことくらいあるが、今の自分を否定する結果になるから過去は変えたいなどと思わない。もし、死んでいった戦友を助ける術があったとしても必ずどこかで埋め合わせが起こるだろう。全てはなるべくして起こった事。
 それに過去が変わったら君に会うことがないまま過ごす可能性が高い。そんなの君を知った俺には堪えられそうになかった。変えるとは何かを失うことでもある。

「未来だって気にならないと言えば嘘になってしまうけど、俺はどちらにも行きたいとは思わないな。」
まるで俺の答え知っていたのかのように君は穏やかに笑っていた。
「いつも前を向いてるからそう言うと思ってた。」

 分かってるのにわざと聞いたのか。君は俺を理解してきたみたいだね。そうこなくては。
「未来でも見てきた?」
「まさか。読んだ本に蝶の羽ばたきひとつで世界が変わるって書いてあったから、私達が会えたこと実はすごいことなんだなって。」

 もし機械が本当にあるなら使いたい人間はごまんといるだろう。君の話したようにほんの些細なことで君との関係が変わってしまうなら…
「…誰かが使う前にその機械を壊しておかないと」
「例えの話しだって…!」
 実際にあったら俺は、機械が存在する限り何処へでも破壊しに行くだろう。慌てだす君に冗談だよと、向かい直した。

「過去は教訓になり学びを与えてくれる。そうやって積み重ねて、欲しい結果は自分で掴むものだよ。君が良いって言うならこの先も俺と…どうかな?」
 この先は君次第。とりあえず首を長くして待つことにするよ。
 頬を染めはじめた君は俺に何て言うのだろう?いくつも予想をたてるけどわからないから未来は面白いんじゃないか。

 あ、でも「君の未来の旦那様だよ」と小さい頃の君に会って言ってみたかった。



『タイムマシーン』があったなら

1/22/2023, 5:51:55 PM