まだ見ぬ景色
久しぶりに来た街はすっかり荒廃していた。
すべては人間を改造した兵器、改造人間を生み出した政府のせいだ。
多くの改造人間は人に紛れ、至るところで無差別に街を攻撃していた。この街もその襲撃にあったのだろう。ひどい有様だ。
「だれ」
か細い声に目をやると、そこには傷だらけの少女がじっとこちらを見ていた。
改造人間は人間と区別がつかない。倒れているのが人なのか、兵器なのか。だから誰もが見捨てていく。こんな幼い少女でさえ。
「あなた、この街の子?」
怯える少女は躊躇いがちに頷いた。近くに両親らしき人はいない。
「1人? 一緒に来る?」
わたしはこの子に殺されるかもしれない。だが、仮に彼女が兵器だったとしても、元は人間。感情はあるのだ。彼女の感情を制御すれば、あるいは。
「まだ見ぬ景色を見せてあげる」
手を差し伸べると、少女は徐にわたしの手を取った。
あなたを兵器にはさせない。
1/13/2025, 1:59:52 PM