Ayumu

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※ほんのりですがBL表現があります。


 玄関のドアを開けた君はとても驚いた顔をした。
「な、なんだよお前、マジで来たのかよ!?」
「うん、ごめん」
「べ、別に謝んなくてもいいけど」
 つい一時間ほど前に「またな」と別れた人間が、一応許可をもらっているとはいえこうして押しかけてきたら確かに驚く。というか気持ち悪ささえ感じるかもしれない。
「とりあえず上がれよ」
「え、いいの?」
「そのまま帰すのもなんか、気が引けるし」
 困惑とも羞恥ともいえる表情で招き入れてくれた。それをさらに加速させてしまうかも、と申し訳なくなりつつ、ドアを閉めた瞬間背中を包み込む。
「ちょ、お前っ」
「我慢できなくてごめんね。どうしてもまた会いたくて」
 一日たっぷり使って一緒にいたのに、離れた途端気持ちが抑えられなくなって、気づけば踵を返していた。
 恋人同士になってからどんどん欲張りになっていく。呆れられても文句は言えない。
 短いため息が聞こえて、みっともなく身体をこわばらせてしまった。
「お前、ほんとに俺が好きなんだな……」

 好きだよ。
 特別な想いを抱いたのも、告白したのも、デートも全部君が初めてでよかったと感謝したいくらい、好きだよ。

 たぶん重いくらいの気持ちを汲み取ってくれたのか、小さく「ばーか」とつぶやくと、回した腕に頬をすり寄せてくれた。


お題:君に会いたくて

1/19/2023, 3:31:37 PM