ピンッと張った糸が切れたとき、それが終わり。
それまで当たり前のようにできていたことが何もできなくなった。はくはくと口が動くだけで声が出ない。そのうちヒュウと空気が抜ける音がして、視界が歪んで生温かいものが頬を滑り落ちた。
その場の空気が淀んでいくのがわかる。迷惑そうな表情が7つとも僕をみてから、すぐに議題に戻っていく。
発言するはずだった僕の言葉も、存在すらなかったかのようにカンファレンスは続いた。もう何も言えなかった。
そのあとは当然呼び出された。叱られるでもなく淡々と事情を尋ねる態度は、もう呆れてものも言えないといった感じだった。僕は声を発することもできずただ涙を流し続けることしかできなかった。
その日を境に、何もかもが崩れ落ちていった。
手に握らされた連絡先が書かれた紙を丁寧に折りたたんできれいな箱にしまった。小さな優しさが余計につらい。
あんなに病気とはどんなもので、それとの向き合い方や支え方を学んできたのに。僕は結局のまれてしまった。
他人のことだから客観的にみて的確に動く判断を下せるのだ。自分のことになった途端に感情に流されて自分も周りもみえなくなる。
「まともな子どもを一人くらい産んでから言えよ」
家族の形すら歪めてしまう自分の存在が許せない。
毎日毎日どうしたら自分を消せるのかだけを考え続ける。
薬?カウンセリング?そんなものでこの罪を消すことなどできるわけがない。
完璧でない僕は出来損ないだ。処分してくれ。
【題:不完全な僕】
8/31/2023, 1:33:10 PM