「一緒に逃げよっか?」
僕の目の前で口を開き、僕が今一番かけて欲しい言葉を話す君。
こんな理不尽に正解を求められ通り魔のようにくる言葉が普通のこの腐った世界に生きている君と僕。
よくやったよね僕たち。
この子は高校生からの友達で初めて会ったときは君から話しかけてくれた。親のせいで友達ができない僕にとってはとても嬉しかった。この子は完璧を目指して壊れちゃったみたい。
僕と一緒にしていいのかと思うほど僕より大変な人だ。でも君は僕と一緒って言ってくれる。
僕は救いの言葉に答える。
「うん」
君はわかっていたかのような顔をして微笑む。この歳にもなって逃げてもいいのだろうか?周りを裏切ってもいいだろうか?
「冒険だよ、何も悪いことはしてない」
僕の不安の方が大きいのに君の小さな言葉が僕の大きな不安を打ち消してくれる。
そこからはレストラン、公園、他にもいろんなところに行った。いつもより生きているのが楽しかった。そして生きている心地がした。君といると生きている意味がわかる気がする。
そこから僕たちは世界から逃げた。僕たちは冒険をしている。事切れるまで。
「さよなら、理不尽な世界」
「またね、大嫌いな世界」
7/12/2025, 10:59:19 AM