NoName

Open App

君を探して


君はクラスの人気者。
いつだって、君の周りには人が集まる。

俺はそんな様子を、窓際の席から眺めるだけ。

あぁ、君の笑顔はいつも眩しいな。

眩しくて、いつだって日陰の存在の俺には直視出来ない。
きっと、何かの拍子で目が合えば、俺はその眩しさに目を逸らすのに。

でも、それでも見つめてしまうんだ。
その眩しさ、君の輝きに憧れて。

それ程に君を見つめている内に、君が昼休み前の10休憩中に、教室をそっと抜け出すことに気が付いてしまったんだ。

ねぇ、いつもどこに行っているの?

ある日、俺はいつもの様に教室を抜け出す君の後を追えば。

君が入ったのは、ほとんど使われていない、物置みたいになっている、空き教室で。
俺がそっと、中を覗けば、隅の席に座って腕を枕にして、眠る君。

目を閉じる君には、いつもの眩しさとは違う雰囲気があって。
それが、俺を惹き付けるから。

気が付くと、俺は眠る君の前の席に座って、君を眺める。
それでも、君が起きる気配が無いから。

もうすぐ、休憩が終わるんだけどな。

起こそうか、でももう少し眺めていない、なんて。
俺が躊躇っていたら、君の目がすうっと開いて。

俺を真っ直ぐに見た。

そして、ニヤリと笑う。

このまま、サボっちゃおうか、と。
そう、俺に言った君の笑顔は、いつもの眩しさなんて感じなくて。

今、君の知らない一面を見た、俺の胸は何故か高鳴るのだった。


End

3/14/2025, 11:14:44 PM