男 (手に銃を持っているその銃からは煙)はァ...はぁ...
誰か よくやったな!将来有望!いいね!おまえはなんでもできるな!
男 (僕は難しいことが嫌いだった。学校での勉強も、テストも、いい思い出がない。でも、僕より上手くできない人間もいた。)なぁ、テスト、何点だった?
誰か うん...(紙を隠す)
男 (もちろんバカにしていた。頭においては僕より下がいる。それが喜びだった。今思えばあの頃から僕は不純だ。)
誰か これは、ある村で起きた話なんだけどさ...
男 (あいつは、怖い話を話すのが上手かった。夏は誰もがあいつの机の周りを囲んでいたし、夏じゃなくても僕はそいつのする怖い話が好きだった)うわーこぇえ。なんでそんなん知ってんの?
誰か いや、好きだからさ。
男 (あいつが、かっこよく見えた)ふーん...。(学年が上がっても、あいつと俺はまだ付き合いがあった。)なぁ、この前あいつと会ったよあの、深海魚ってあだ名の。
誰か え?ああ、アカナちゃんか
男 え?いやそんな名前だっけ、アカネでしょ、アカネ。
誰か え?あ、そうだっけ?
男 (あいつは、人の名前を覚えるのが苦手だった。僕といっしょに過ごしていたであろう時代の住民の名前も、覚えていたのは限られていた)
誰か 嫌いなんだよ。嫌なんだよ。学校って無駄だよな。
男 (あいつの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。でも、確かに、あいつはどこか世界を達観している節があった。それに気づけないほど、僕は未熟だった。だけど新しい環境にボロボロにされている僕には、それに気づく余裕すらなかった。)
誰か なぁ、お前もそう思うだろ?
男 (数年後、ほんの少しの時間がたっただけだと思っていたが、2年は確実に経っていた。僕は自分のやりたいことを見つけた。僕が見つけだしたんだ。)なぁ映画、撮りたいんだけどさ、協力してくれない?
誰か おお、いいよ
男 え?(あいつとの話はスムーズで、僕の耳によくなびいた。あいつは僕のことを信頼してくれいてるらしい。夏のゲームセンターの最悪な寒さも、痛くなかった。)
誰か そう、先に教えておいて欲しかったな
男 (LINEでそう言われ、自分のやったことを再確認する。ああ、ぼくの間違いだ。撮影に協力者が欲しいとは思っていたが、勝手に呼んだのは間違いだ。学びの場として今撮影することを望んではいるが、ミスはしてはいけないことだと、知っている。)
誰か (撮影場所?ウチがあるじゃん)
男 (彼は自分の家まで貸してくれた。ありがとう。あたりまえだろ。)
誰か センスあるな
男 (そりゃそうだ)
誰か お前がいちばんだわ
男 (ありがとう)
誰か ほんとにすごいなお前
男 (何言ってんだ)
誰か お前、どんどん遠くに行っていくな
男 (お前なんかとは、違うんだよ!!!!!)
誰か 挨拶くらい。しろよな。
男 (え?)え?あ、そうか。そうだよね、ごめん(あーあ)ごめん(ごめん)くそだ(おわった)苦い
誰か それが当たり前だよな。親怒ってるわ
男 うん...じゃあ。。。
誰か おう
男 (苦虫を噛み潰したような思いとはよく言ったものだが、苦虫を奥歯で噛み潰し、擦り合わせ、その味を見極め、その苦味の出処の内蔵の内側のヒダのうねうねをつくる細胞にまで目線を動かすのが、生きるということなのだ。)あーーーーー。
誰か ............
男 (本当にごめんなさい。すみませんでした。)
誰か .........
男 あーーーーーー。
誰か .........
男 あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(銃を撃つ)
誰か ...
男 はァ...はぁ...
まだ、既読はつかない。既読はつかない。目は、背けない。鼓膜は、振動を忘れない。既読は、つかない。
9/20/2025, 4:40:30 PM