──過去まで欲しいなんて言わないからさ。
恋人の子供時代を知ることはできない。出会ったのは魔法学園の高等部で、もうお互いに大人の一歩手前だったから。中等部からの親友だという同級生に嫉妬なんてしないけれど、愛しい人の幼少期を見たいと思うのも事実なわけで。
それなら魔法具で撮った写真や映像はないか、と聞いてみたことがある。でも、数秒の無言ののち鮮やかな緑の瞳を翳らせながら、無い、とだけ簡潔に返ってきた。過去を語りたがらない理由を追求するのは、きっとまだ早い。話してくれるだろう日を密かに待つばかりだ。願うならば、それがあまり遠く無ければ良い。
そんな恋人が、珍しく子供みたいにはしゃぐ時間がある。
(子供のように)
後日加筆します。
これで三十作品目です。いつも読んでいただきありがとうございます。
10/13/2024, 10:58:39 AM