僕は君が嫌いだし、君だって僕のことが嫌いだろ?
それでもこうやって行く先々で出会ってしまうのだから、妙な縁だと言うしかないね。
え? それなら今から背中合わせになって、それぞれ反対方向へ進んでいけばいいだって?
なるほど。それはなかなかにいいアイデアだね。よし、君のその案に乗ろうじゃないか。
もしかしたら、これが君と顔を突き合わす最後になるかもしれないな。
それでは、記念に握手でもしとこうか。
ん? 何だいその嫌そうな顔つきは。
君ね・・・・・・。こういう時くらい愛想のひとつも見せたらいいじゃないか。嫌いな相手とも上手く付き合うのだって、大人の嗜みだぜ?
あー、はいはい。僕だって君とは金輪際、顔を突き合わせたくないよ。
だから、ほら、手、出して。
──痛い、痛い。
思いっきり握り締めないで。
まったくもう。
こんなに遠慮なく僕みたいな奴に突っ掛かってくる馬鹿は、この広い世界で君くらいのものだよ。
【友情】
7/25/2023, 6:08:27 AM