中宮雷火

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【猫休み】

子供が産まれてからというもの、生活は一段と賑やかになった。
大人2人、子供1人(由花という名前だ)、猫のミュウとピコ、そしてこの前産まれた猫の赤ちゃんが1匹。
「赤ちゃんの名前、リリが良いと思う!」
由花に「リリ」と名付けられた猫は、小さな布団の中でぐっすりと眠っていた。

3ヶ月後。
家にお客さんが来た。
「可愛らしいねえ」
お客さんはそう言って、リリ達の頭を撫でてくれた。
「由花ちゃんは猫好き?」
「うん、好き!」
「この子、この前の参観日に猫の作文書いたんですよ」
「あらぁ!是非読んでみたいわ」
そうして我が家のリビングでは、作文の発表会が行なわれた。

『私の家には、3匹の猫がいます。
ミュウ、ピコ、リリという名前です。
ミュウがお母さん、ピコはお父さん、リリはミュウとピコの子供です。
ミュウはとても優しくて、リリの面倒を付きっきりでみています。
ピコはとても落ち着いていて、大人っぽいです。
リリはこの前産まれたばかりの猫です。
とても甘えん坊です。
私はミュウもピコもリリも大好きです。
3匹は私にとって「飼い猫」ではなく「家族」です。
一緒にいられて、とても幸せです!』

由花のスピーチで、不覚にもなきそうになった。
僕も参観日に行きたかった。
「ミュウ」
ミュウが鳴いた。
ミュウはいつも「ミュウ」と鳴くから、ミュウなのだ。
「小さな幸せって、こういう事を言うのねぇ」
「違うよ」
由花はお客さんに言った。
「大きな幸せだよ」

小さな幸せ、か。
お客さんはそう言ったけど、由花は「大きな幸せ」と言った。
幸せが大きくても小さくても、別に良いんだけどね。
でも、僕達はあと10年しか一緒にいられないから、小さな幸せなのかもしれない。
いや、短い幸せというべきか。
まあ、どっちでもいい。
「ニャア〜」
僕は鳴いた。

3/28/2025, 10:43:22 AM