時雨 天

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些細なことでも





親友と喧嘩した。ほんのちょっとしたことだった。
俺にとっては気にならないことだが、親友にとっては気にすることだったようだ。
そんなことで気にしなくていいと言うと、火に油を注いでしまった。
早口で俺の悪口を言う。かなり心を抉られた。そんなこと思っていたなんて。
抉られながらも、俺も返した。こうなると体力を使う、疲れる。
親友は、もういいっと言って家に帰って行った。
一人その場に残されて、モヤモヤとムカムカする心を鎮めようとする。
しばらくして、ふらふらと歩き出し、コンビニへと向かった。
中に入ると涼しい風が熱っていた体を冷ましてくれる。
好きなものを食べて、気分を晴らそうと思い、アイス売り場へ。
どれにしようか悩んでいると新作のアイスに目が行く。

「あ、これ、あいつ好きな味っぽい」

ふと口から溢れた。無意識だった、まさか親友のことを思い出すとは。
頭をぶんぶんと激しく振って、忘れようとしたが、親友がいつも買うアイスが目に入る。
ギリギリと奥歯を噛み、お菓子売り場へと移動した。
お菓子売り場へ行くと同じように、親友が好きなお菓子を手に取っている、自分が。

「はぁー……些細なことで喧嘩するんじゃなかったなぁ」

肩を落として、買い物かごにお菓子とさっきの新作のアイスと好きなアイスを放り込んだ。

「素直に謝りに行こう。喧嘩してもあいつのこと考えているって、俺どんだけ好きなんだよ、ハハっ」

苦笑いして、レジへ向かおうとするとポケットに入れていたスマホが鳴った――

9/3/2023, 12:54:01 PM