かっぱー

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瞼の向こうがまぶしくなって私は目を覚ました。最初に視界に入ってきたのは見知らぬ天井だった。ぼんやりした頭を回転させて記憶を呼び起こす。「思い出した。ここは山の中のコテージだ。記憶に靄がかかっているような感じがするのは昨日散々お酒を飲んだからだ。」そこでようやく意識がはっきりして辺りを見回す。そこには昨日一緒に騒いだ友人たちが静かに眠っていた。最後に時計を見たのは2時だっただろうか。手元のスマホに視線を落とすと9時30分を示していた。あれだけ地獄の登山となった後に浴びるほど酒を飲んだのだ。まだしばらくは誰も起きてこないだろう。そこまで考えた私は朝風呂に入るための準備を始めた。誰も起こさないように静かに。
鞄から着替えとタオルを取り出していると鳥たちのさえずりが聞こえてきた。昨日の午後ここにたどり着いてからは全く聞こえなかったのだが、私のわずかな衣擦れの音が響く以外は静寂に包まれている今のこの部屋には良く通った。しばらくその音色に耳を傾けていた私は、再び瞼が重くなってきたのを感じて慌ててかぶりを振った。「お風呂に入って目を覚まそう。」そして私は着替えとタオルを持って部屋の外へと歩き出した。「願わくば次に起きた誰かが、あの小鳥たちの声を聴けますように。」そんなことを考えながら。

9/29/2024, 2:57:32 PM