「父上、何故ですか。何故、シモンを……。
私から、何故……シモンを奪ったのですか。」
まだ、うら若き青年は感情の波を抑えながら、父に必死に抗議する。
父と呼ばれた、厳格な雰囲気を纏う男性は鋭い眼差しを青年に向ける。
「解らないか。」
突き離したように、冷たく男性は問う。
「理解出来ません。」
青年は、はっきりと鋭い眼差しで父に屈せぬよう宣言する。
「そうか、ならば…考えてみよ。
何れ、其の問の解が解るようになる日まで。」
冷静に簡潔に確実に、男性は父としての役目を果たす。
「どういうことですか。」
青年は、冷静になるよう己に言い聞かせながら、必死に訴える。
「連れて行け。」
男性は、側近に命じた。
「承知しました。」
側近は、従順に命を遂行する。
「何故ですか。父上!」
青年は納得出来ず、必死に抵抗する。
「もう、お前に言う事は無い。」
男性は、青年に冷たく言い放つ。
野生の獣のような眼差しを青年は、父に向ける。
男性は鼻で笑い、青年を書斎から退室させた。
11/8/2024, 12:13:19 AM