27(ツナ)

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逆光

散々殴られて蹴られて、意識は遠のいていった。
むしゃくしゃしてたのか、今日は一段と酷い。
路地の隙間からは落ちかけた夕陽が赤黒く輝いていた。
眩しさと痛みで目が霞んでよく見えない。
ふと、路地に誰かが入って来た。
「おいおい、何してんねん寄って集って。しょうもないことして遊んでんと、ガキは早よ家帰って勉強でもしとけや。そうせんと……殺したるぞ。」
明るくおちゃらけた声から急に殺気を込めた声色に変わって、その場の空気もピンと張り詰めた。
僕を殴っていた奴らは、その人の殺気に完全に飲みこまれ腰を抜かして情けなく逃げていった。

僕もその人の殺気に金縛りにあったように動けなくなる。
ひと目だけでも顔を見ようと、あちこち痛む体を何とか起こすと、スーツに身を包みタバコを咥えて鋭い目で僕を見下ろす赤黒い逆光を浴びた男が立っていた。
逆光のせいで全身が返り血で真っ赤に染ったように見えて、僕はお礼の言葉も言えずただ見上げることしかできなかった。
僕を一瞥すると、その人は逆光を背に真っ黒い路地の中へ消えていった。

1/24/2026, 11:25:17 AM