如月灯

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夜中に目が覚めた。
まだ慣れない天井から目を離し、ゴロンと寝返りをうつ。そこには静かに寝息をたて、穏やかな顔で眠る友人の姿があった。
「いつでも来て良いからね。ベッドもボクと結弦の分、二つ用意したんだ」
新しく広い家に引っ越した叶芽はそういって私に家の合鍵を渡した。
ケチをつける訳ではないが叶芽が以前住んでいた家は少々狭く二人で寝るだけのスペースはなかった。私の家なら布団を出せば一緒に寝られるが部屋に物が多すぎて断念した。
そのため同じ空間で共に寝るようになったのは、友人がこの家に引っ越してからである。
「結弦?」眠りの浅い彼はどうやら私の寝返りをうつ音で目が覚めてしまったらしい。
「どうか、したの?」
「ううん、なんにもないよ」
そう言って首を横に振る。
そして再び目を閉じた友人に聞こえないように小声で呟いた。
「ただ、幸せだと思っただけ」


【真夜中】🎼

5/18/2024, 4:35:25 AM