黄身

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「こんなパーティ、ふたりで抜け出しちゃおうよ」
唐突な提案は、澄んだ桃色と深いみどりの香りを纏った、はじめましての君からだった。



四角いきっかりした箱からゆらゆら香ったそれは、わたしの鼻先を擽り、心臓を掴んで離さない。
そのまま私ごと、そちらに連れ出してくれればいいのに。
あのときの「つまらないパーティ」みたいに。
初夏、美しく澄んだ清涼な空気が吹いてわたしは、君の残り香を今日も追う。


No.17【香水】
気が向いたら加筆修正

8/31/2024, 10:05:54 AM