酔った君はとんだ甘えん坊だ。やたらと手を繋いでくるうえ簡単に愛の言葉を囁いてくる。適当にあしらおうものなら可愛く駄々を捏ねてみせる。
「昨日のこと、覚えてます?」
案の定、何も覚えていないというその返答にどこか安堵する自分がいる。覚えていない振りだというのならそれでも構わない。
君は何も思い出さなくて良い。
言葉に耳を傾け手を離せずにいた奴なんか。
幾度かのあの瞬間を未だに反芻してしまう奴なんか。
もう二度と会うことのない奴なんか。
君はこちらなど振り返らず、前に進んでしまえ。
10/6/2024, 7:16:57 PM