"せつ"という取り分け美人でもない女性がいた。
何もやらせても一般的で、飛び出た才能もなくただただ普通の女。
そんな彼女のどこに惹かれたのか自分でも分からない。
だがしかし、愛してしまったのだ。
話せば話すほど、見れば見るほど惹かれていく。
そんな日々が続いた頃だった。
せつが何者かに襲われてた。
しんしんと雪の降る静かな日だった。
それからせつは引き篭もるようになった。
笑顔も何もかも無くしてしまった。
そうした日々がどのくらい過ぎただろうか。
これもまた雪の降る日のことだった。
せつが、自ら命を絶ったのだ。
あたり一面、真っ白な雪の海に一塊だけ赤に染まった場所。
外で最期に雪を見ながら腹を、首を斬ったのだ。
まるで、"せつ"という雪が"雪"というせつに還るように。
数年後、自分は家庭を築いた。
それでもやはり冬になり雪が降ると思うのだ。
せつが、雪が憎くて、そして
愛していた、ということを。
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雪を待つ
12/16/2024, 9:58:32 AM