NoName

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たまにはいいじゃない。
温泉、懐石、本町、夢の街。
興奮気味に話す彼。
ゲイカップルで泊まっても大丈夫な旅館ってあるかな。
あの人、僕を誘ってくれた。
陰キャな僕だけど、あの人の背中を見ていると、笑顔になれるんだ。
その日は雨だった。
雨の日鉄輪。
湯の町別府。
隙間に猫がいた。
夢を描くような猫がいた。
虹色だった。
駄菓子屋にいるような猫だ。
福福しい猫で、手を招いていた。
僕も思わず笑顔になった。

3/5/2024, 10:29:22 AM