「静寂に包まれた部屋」
眠りから目が覚める。
目を開いているのにそこにあるのは真っ暗な暗黒。
声が出ない。体が動かない。
なにかに縛られたかのように体の自由が奪われる。
また、目を閉じる。
そこにも同様に真っ暗な暗黒があった。
いつまでもどこまでも闇が広がっている。
私はひどく不安に襲われた。
このまま死んでしまうのだろうか。
そのとき、部屋に蛍光灯の光が射し込んだ。
母が部屋に入ってきて、
「カレーできてるよ。」
と私に言った。
部屋にカレーのおいしそうな匂いが漂ってきた。
その瞬間、恐ろしく不安に思えた闇が晴れ、体が軽くなった。
母の陽気で明るいその声は、
静寂に包まれた部屋を一瞬にして光で包んだ。
9/29/2024, 3:30:24 PM