『夏』
ある夏の日。
その日はとても暑くてイラついていてついあんな事を言ってしまったのかもしれない。
「お母さんなんか大嫌い!!」
お母さんに向かって私はそんなことを吐いた。
その数時間後、お母さんは職場で倒れてそのまま。
原因は過労だったらしい。
お父さんがいない母子家庭で育ったから、お母さんへの負担が大きかったのかもしれない。
私と兄はその時はまだ学生で部活にも入っていて忙しく、お母さんを手伝っている暇なんてなかった。
そして、そんなお母さんに私はあんな暴言を吐いた。
今思えば、なんで喧嘩したのか分からないけれど。
兄はその事に何も言わなかった。ただ、「お母さんはちゃんと分かっているから」と言いながら私の頭を優しく撫でただけ。
私は少し後悔している。あの時、お母さんが倒れることを分かっていればあんな事を言ったりしなかったのに。
でも、私は今、目指しているものができた。
それは、医者になること。
お母さんが倒れて分かった。
私がしっかりとした知識を持っていれば、もう少しお母さんのことをしっかり見れていればお母さんは死んだりしなかったかもしれない。
今、猛勉強している。その夢を叶えるために。
だから、あの夏の日のことは不謹慎だと言われるかもしれないけれど後悔はしていない。
兄も応援してくれている。
私は今、お母さんに会えたら伝えたいことがある。
一つ目は私たちの面倒を見てくれてありがとう。
二つ目はあんな事を言ってしまってごめんなさい。
そして、三つ目は私に夢を与えてくれてありがとう。
取り柄のない私が唯一叶えたいと願うことの出来た夢が医者になることだから。
だから、私は今でも後悔することはあるけれど前を向いて生きていこうと思う。
7/15/2025, 6:47:50 AM