ガヤガヤとうるさいありふれたスナック。
昔流行った前髪を大きくカールしたストーレトの長い髪型に、まつ毛をばさつかせたママ特製の煮物。
しっかりした味付けの割には優しく、じゃがいもはほろりと口の中で崩れたり。
誰が残って、誰が帰ったかなんてもう分からないだろう3次会になんで自分は残ってしまったのか。
残ってしまった原因が
周りに囃し立てられてマイクを持つ。
軽やかに落ちていく、母親がよく口ずさんでいた曲の前奏。いつも口ずさむ割に、歌詞をちゃんと覚えていないのかAメロだけをひたすら歌うので、そう言えばサビをよく知らない。
当時のトップアイドルの曲をガタイのいい男が心地よく響く低音の声で歌い上げていく。酔っ払った同僚がふざけてその腕に絡む。ふわふわとした巻き髪が相手の肩に落ちるほど、隙間なく身体をくっつける。
ツキリと胸が痛む。
この歌のように、この痛みが懐かしいなんて言える日が私にもいつかくるのだろうか。
適当な濃さに割られて苦いウーロンハイを煽る。
聞き馴染みのないサビは、ガヤガヤとした喧騒に紛れてやがて私の耳には聞こえなくなった。
♯sweet Memories
5/18/2026, 3:44:39 AM