茶茶葉

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 人間からすれば1000年なんて途方も無く長く、それこそ自分には関係ない年数。でも私達吸血鬼は永く長く生きるの。
 毎日が退屈。夕暮れに起きて、明け方に寝る。起きてる時間が虚しくて200年位寝た事もあったわ。
「ふわーぁ…」
牙の生えた口を開けて欠伸。こんな欠伸もし飽きちゃった。あーあ、楽しい事ないかしら。
 午前3時。今日はとっても綺麗な三日月だからお気に入りの傘をさして夜のお散歩。気分良く鼻歌なんかも歌っちゃったり。
「〜♪」

ガサ「いてっ!」

「誰かいるのかしら?」
「ご、ごめんなさい…」
物陰から出てきたのは1人の少年。
…人間?こんな時間に?
「こんな時間に子供が出歩いちゃダメよ?わるぅい吸血鬼に襲われちゃうわよ?」
「…きれい…」
「へぁっ…??」
いけない、思わず素っ頓狂な言葉が漏れてしまった…。今、え、なんて…
「お姉さん、凄く綺麗。赤い眼に夜なのに透き通る様な白い肌、とんがった牙も…」
…私、魅了の魔法なんてかけてない筈よね?出来ないし…。
「ちょ、ちょっと、君…」
「俺、お姉さんの事好きだ。一目惚れした。一生一緒にいたい」
ちょちょ、ちょっと待って??プロポーズ?え、プロポーズ?
「噛んで」
「え」
「俺を噛んで。血を吸ったら眷族になれるんでしょ?漫画で見た!」
あー…なるほどね。うん、うん、なるほど。
「…人間やめるのよ?貴方きっと後悔するわよ…?」
「いい。お姉さんといられるなら人間なんかやめる」
やだ決心固め即決。はあ、とため息を吐く。これはもう何言っても聞かないパターンね。私だって色んな人間見てきたし。
「いいのね?」
「ぜひ」

つぷ…っ 

肩に噛みつき血を吸う。もう後戻りは出来ない。
「貴方、名前は?」
「俺は裕二。喜多川裕二です。…お姉さんは…?」
「ミサよ。これからよろしくね、ユウんむっ⁉︎」
唇が重なる
「…っぷは。ミサさん、大好きです!」
「〜〜っ!!もうっ!」
真っ赤になってそっぽを向くミサが可愛くて抱きしめてしまう。
「これからも、ずっとずーーっと一緒です!!」



「1000年先も」

2/3/2023, 12:18:55 PM