『過ぎた日を想う』
ああ死ぬんだな。天井を背景に孫と娘の顔が見える。
病院の一室での出来事だ。
夫には先立たれ、10年。私は少し長生きしすぎた。
だいぶ待たせてしまった。毎回デートでも遅刻していたことを思い出す。あの時と変わらない。
僕も今来たとこだよ、そう言って笑うあなたが簡単に想像できる。走馬灯のように流れて来る記憶には、上手くいかないときも、泣いてるときも、笑ってるときも、大きな失敗をしたときも、全部、隣にあなたが居た。まだ死にたくない気持ちと同じくらい、いやもしかしたら、それ以上にあなたにもう一度会いたい。遅くなってごめんね。また笑って私を許してね。
10/6/2024, 10:29:24 AM