【スマイル】
テーブルの向こうから声がする
目線は落としているから相手の顔は見えない
相手の声は明るく、気さくな感じ
恐る恐る目線をあげると、
正面に笑顔を称えた上司がいた
彼女はいった。
「あなたは、笑顔が足りないんだよ、ほら、端を持ち上げて…スマイルスマイル」
云われたことが信じられずに固まった。
今さっき、「あなたの仕事は全然ダメ、皆あなたのことを嫌っているよ」
そういったばかりなのに。
固まったまま動けずにいる。
相手も口の端に人差し指を添えた笑顔をやめない
この地獄から抜け出したくて
渾身の力を込めて歪んだ笑顔を作った
彼女はそれに満足したのか、そこで面談は終了となった。
彼女が面談室を出ていった後、少しして立ち上がろうとしたら
膝から崩れ落ちた
頭がフワフワとして立っていられなかったのだ
激しいめまいに吐き気がした
ありし日の思い出
2/8/2026, 2:54:46 PM