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木枯らし


びゅう、と風が吹いて、地面に広がる枯れ葉が舞い上がる。私の心も同じようにこの木枯らしが掬い上げてくれればいいのに。
そんなことを思いながら、枯れ葉を踏みつける。軽快な音が鳴って、足をどければ、そこには元の形がどうなっていたのかすらも曖昧な枯れ葉の破片が落ちていた。
ああ、こんな風に心も簡単に壊れてしまえばよかったのに。歪で所々欠けているのに、まだ形を保とうとする心が、まだそこにいるから。
はぁ、とため息を吐いて、この心を差し出すように空へと手を伸ばした。
さぁ、木枯らしよ。どうぞこの心をさらってくれ。

1/17/2023, 2:19:17 PM