「手放した時間」
一人になる時間が欲しくて、家族に仕事だと嘘をついて出かけた。
なにをしたい訳じゃない。
実際特にする事もなかった。
ただ疲れていただけだった。
人付き合いとか、毎日のタスクに追われまくる事とか、のしかかる責任とか。
兎に角全てから逃げ出したかった。
そんな事を何度かこっそり繰り返していた。
その内に少し子供も手を離れて。
転職もして仕事のストレスもほぼなくなった。
そして、今はあの時間を惜しんでいる。
あの時の私には、確かにあの時間が必要だった。
あの時間があったからこそ、何とか自分を保つ事が出来た。
もし、もう一度あの時に戻っても、きっと又同じ事をする。
だから、後悔はしていない。
でも、子供との貴重な時間を失った事が、惜しまれる。
今でも子供とは仲が良いし、子供も親バカだけどいい子に育ってる。
子育てに後悔はないし、楽しい時間も山程過ごした。
でも、それでも。
一秒でも、一分でも。
あの時の可愛い子供と少しでも多く過ごせば良かった。
子供は大きくなるだけで、もうあのちっちゃかった頃に戻る事はない。
あの時の時間は、かけがえのない時間だったのに。
そんな思いが去来して、自ら手放したあの時間を惜しんでいる自分が居る。
11/23/2025, 1:20:32 PM