どこかのあさみ

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「星空の下で」

プロローグ
いつかこの時間は終わってしまう事は、みんなが知っている事だった。もうすぐ3人違う場所で居場所を作らないといけないから。いつか星に焦がれられるのは終わるって知ってたから。闇夜ほど星が綺麗な事をしってたから。もうすぐ、朝日が登りはじめて、いずれ昼になるって知ってたから。太陽が近くなる。


星空の下で、3人寝転んで時を過ごしてた。
ときに笑い合った。一度笑ったら同じ話ばかりした。毎日話してたはずなのに、会話は途切れなかった。ときに喧嘩した。成熟してない子供だったからどうしようもなく拗ねたりして、長引かせた。必要以上に会うことは無かった。わたしが籠の中との鳥だったせいで、迷惑をかけた。3人で地面から1番近くから、星に焦がれた。

時が経ち、私だけ、一足先に起き上がる準備をはじめた。今いる場所に息苦しさを感じて、限界を迎えかけていた。
2人とは疎遠になった。私は寝転ぶ場所を変えた。二人に連絡する手段がなかった。すぐ隣に、一緒に寝転んでいたはずなのに。少し寝転ぶ場所を変えたら、会うことは無かった。2人は私を心配してくれていたと思うし、私も2人に申し訳なく思っていた。お互いに見えるはずのない距離で、お互いの事を気にして、お互いが居る方向を考えては心配しあった。

2人が見えない間、私はひとり、だんだんと起き上がり、またつぎの星を掴むために場所を探した。


この物語は一人称視点でのみすすむ。
2人がどう過ごしていたかはわからない。ここに綴ってある話は全て後から聞いた話である。そしてわたしが主観の話だ。


2人も寝転ぶ場所を変える時が来ていたらしい。
今の寝床とはさようならをして、寝床を変えるお祝いに、2人は連絡手段を得ていたらしい。2人から連絡があった。

連絡が取れた後は、まるでハッピーエンドの物語のようだった。
話すならば長くなるだろう。お互いに気恥ずかしいことを言い合っては、泣き合い、再開を喜んだ。毎日長い時間連絡を取り合った。

2人も寝所を変えることに成功したらしい。
はじめは3人同じ場所で寝ていたのに、気づけば散り散りの場所に居場所をつくっていた。三者三様とはこのことだ。似た道もあったはずなのに、私たちは見事に違う道を選んだ。その中で連絡を取れると言うことは偉大なことだった。はじてこの時代に生きていてよかったと思うほどに。

今ではお互いに違う寝床で、違う星を求め、地面から遠ざかっていった。
3人はだんだん星に近づいていった。いつしか星が掴めないと知り、違う光に焦がれ、朝日が登りはじめ、昼が来るのだ。今はまだ地面に近いだろうか。星に近いだろうか。それとももう星が掴めない事を知ってしまっただろうか。朝日はのぼりはじめただろうが。それは今ではなく、後でないとわからない事だ。

いつかまた隣で話し合う日を夢みて。

この物語はノンフィクションです。現実を比喩表現を使って表しています。
なので現実の話を知らないとわからない部分がもしかしたらあるかもしれません。わからなくても物語として成立するようにかいたつもりですが、わたし自身知っている身なのでなんとも言えません。

4/5/2022, 2:17:25 PM