『沈む夕日』
夕日が沈んだ、世界も沈んだ。
もう、二度と世界に太陽は上がらないだろう。
○○○
蜘蛛の糸、という本を知っているだろうか。
とある文豪が書いた短編で、とある罪人の話である。
カンダタという悪いことをして地獄に落とされた者が、生前の小さな善行を御仏に恩情を貰い、地獄から這い上がるごくか細い蜘蛛の糸を垂らして貰う……そのような話だ。
人類は、多大なる罪を犯した。
戦争、環境破壊、イジメ、動物虐待……。
だが、同時に良い事も成している者がいた。
災害支援、国境なき医師団、環境保護、動物愛護……。
しかし天秤の釣り合いはとれず、世界は終焉にの兆しがみえる。
唯一、希望があると、すれば、それは蜘蛛の糸だった。
……しかし、またもや人類は失敗したのだ。
限られた人数に対して、人は殺し合った。
罪の塗り重ねを行い、我々は蜘蛛の糸さえ失った。
沈む夕日を前に、我々は絶望する。
救われなかったこと、ではない。
我々があまりにも救われない“存在”であることに、絶望したのだ。
もう、太陽は上がらないだろう。
世界は終焉に包まれたのだ。
何故だが分からないが、本当に終わってしまったのだ。
そう決まってからは、驚くほど世界は静かで平和だった。
なんとも皮肉で、私は終焉を前に笑いをこぼしていた。
おわり
4/8/2026, 3:28:05 AM