「数日ぶりの空」
分厚い遮光カーテンの向こうが眩しいのはわかっていたのに、なぜ外を見ようと思ってしまったのだろう。
澄んだ青い空。
もこもこと盛り上がっている、雲。
外を見るなんて、何日ぶりだろう。
カーテンを握りしめたまま、動けない。
雲が形を変えていく。
暑くなりすぎて悲鳴を上げた大地が、空に白い雲を伸ばしているのだ。雨を降らせてくれよ、と。
降ってしまえ。降ってしまえ。
開放感と暑さに浮かれた子供たちの甲高い声。
降ってしまえ。降ってしまえ。
どんな時にも、誰の頭の上にも、太陽は昇る。
それならば、どんな時でも、誰の身にも、雨は降る。
降ってしまえ。降ってしまえ。
捻くれた考えでしか、自分の機嫌を取れなくなってしまった私の頭の上にも、太陽は昇り、雨を降らせる。
降ってしまえ。降ってしまえ。
数日ぶりに、昼間に出かける準備を始める。
雨に濡れるのは好きではないが、傘で顔を隠せるのは悪くない。
────入道雲
6/29/2024, 2:26:47 PM