蝶よ花よと言えば、蝶でも花でも望めば望むだけ与えられて、丁重に育て上げられた深窓の姫君や、過保護の中で育った世間知らずなどが思い出されるかもしれない。
もしそうだとしたら、蝶も、花も、豊かさや幸福といった、正の面でのイメージを連想させるということだろうか。
蝶は蝶でも、色鮮やかではないもの、昼ではなく夜に飛ぶものもいる。
それこそ、蝶や蛾の区別なんて曖昧で、国によっては一くくりのところもある。
花は花でも花びらを持たないものも、虫を食うどころか、花をトイレのようにして小動物の排泄物を養分にしているものもいる。
色々な生き方の蝶や花がいるのだから、場所が違えば「蝶よ花よ」も意味が異なるのだろうか。
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広がる花畑に、数多の蝶が舞っている程ではない。
蝶よ花よ、という程でもない。
狭い空き地に雑草が蔓延り、二、三の名の知らない花に蝶が一匹止まっているだけ。
「そんな、どこにでもある有り触れた光景の一部となって朽ちたい……」
「これを飲んだら続きを聞いてやるよ」
熱中症で倒れる寸前の同僚に、私はOS-1を渡してやった。
8/9/2024, 4:10:52 AM