作家志望の高校生

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僕の友達は変なやつだ。
格好良く言うなら、刹那主義かつ享楽的。
悪く言うなら、無鉄砲で計画性が無い。
後先のことを考えずに行動するせいで、口癖はいつも「お金ない」。
そんな子だ。
あまりに無鉄砲なのでたまに疲れることもあるが、それでも彼のいる毎日は楽しい。
それに、普段はちゃらんぽらんだけれど、たまに深いことを言うのでなんだかんだ飽きないのだ。
僕は彼と違って、後先を考えすぎて何もできないタイプの人間だ。
だから、少し羨ましいのかもしれない。
僕たちを足して二で割ったら、たぶん丁度いい。
タイプも真逆で、どうして交わったか分からないレベルの僕ら。こんな毎日も、あと一年で終わりだ。
あと一年すれば、僕らは学校を卒業して、それぞれの道を歩むことになる。
僕は県内のそれなりに頭がいい大学へ進学する予定だが、彼はまだあまり進路を考えていないようだ。
つくづく計画性の無い人だ、なんて少し笑ってしまう。
三年生に上がって、僕は本格的に受験勉強に打ち込むようになった。
彼はようやく進路を決めたようで、私立文系に推薦で入るらしい。
なんともまぁ彼らしい進路だが、受験期で気が立っていた僕には何故だか彼の笑顔が腹立たしくて、少し距離を置くようになっていた。
推薦の枠を見事勝ち取った彼は、年内に入試を終えて着々と準備を進めていた。
アレだけ無鉄砲だった彼に置いていかれることに、果てしない焦燥と切迫感を感じた僕は、何もかもがうまくいかない。
受験のプレッシャーに負けた僕は、何もできなくなった。
楽しかったはずの趣味も全部楽しくなくなって、机に向かってもペンが動かせない。
未来のことだけを考えて決めた進路は、今の僕に合わなかった。
もう引っ越し準備も終わっているはずの彼が、わざわざ一度戻ってきてまで遊ぼうと言うくらいには、僕はやつれていたらしい。
けれど、それも突っぱねてしまった。
一年前の僕はきっと、こんなことになるなんて思っていなかっただろう。
一年後の僕が、こんなダメな人間になっていることなんて。
あの時、ほんの少しでも彼に感化されておけば良かった。
そうすれば、一年前の僕にも、きちんとした未来があって、今とは全然違う、自分なりの一年後を過ごせていたはずなのに。
僕はもう、未来が嫌になってしまった
不透明な一年後が怖くて、初めて、無鉄砲な彼のように、後先を考えずに線路に飛び出した。
その時だけは、未来も、きっと数日以内に家族にかかる迷惑も、何も考えずにいられた。

テーマ:一年後

5/14/2026, 8:33:02 AM