sunao

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バシャ────ン!!!

突然すごい音がした。

窓から外を見ると、庭の奥の方から煙が立ち上っている。

あの辺りには大きめの木蓮が周りの木から離れて植えられている。

雷が落ちたか…。

雨も降っていないというのに…。

少し怖かったが、火の気の具合が気になって、様子を見に行くことにした。

木蓮の木は燃えていた。
燃え盛るまではいかないが、あちこちに火が燻っていた。
真ん中には大きな亀裂が入っていた。
そして枝の一つに、おかしなものがいた。

髪の毛は白い炎のように立ち上り、パリパリと静電気のようなものを発し、手足は金色の豹のようになっている少年が、枝に四つ這いでいた。

澄んだ青い瞳と目が合ったが、何も気にしない様子だった。

少し様子を見ていると、
枝から飛び下りて木の周りをぐるぐる回って歩いたり、立ち止まったり、また飛び上がり、枝に上ったりしていた。

その様子は、まるで木の命が燃え尽きるのを待っているように思えた。

しばらくすると、木蓮の命を吸い取ったように、
少年は急にすごい速さと跳躍力で空へと駆け上がり、雲の中を飛び跳ね、分厚いその一つの中へと姿を消した。

とたんに雨がぽつり、ぽつりと降り出し、激しくなったので、慌てて家の中に駆けて行った。

雨粒を払い、タオルで頭を拭いた。
外はザーザー降りだ。
これなら火も消えるんじゃないだろうか。
というか、どうにもしようもない。

あの少年はたぶん、『雷獣』というやつではないか。
温かいコーヒーを飲みながら、調べて思った。




「命が燃え尽きるまで」

9/14/2024, 11:11:06 PM