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この道の先には何があるのだろうか。

後ろの道には色々なものが落ちている。保育園、小学校、中学校、高校、大学。上京して就職。コレだけの集団に属する中で築いた人間関係や身に付いた知識・経験、それに思い出や記憶。失敗や成功なんてものも落ちている。

それじゃ前に伸びる道に、道の先にあるものはなんだろう。

俺が思うに、道の先には何も無い。何処の分岐で何を選んでもその先にはただ何も無い道が続いているだけだ。

例えば、道の分岐で失敗したとする。あの時こうしていればなんて考えるけど、でもきっとどの道を選んでいても失敗する事に変わりは無いのだ。次に道を選ぶ時の材料となる経験が後ろの道に増えるだけ。そうやって成功と失敗のサンプルを増やしてく。それが道を歩むってことだと俺は思うわけだ。

「ま、あくまで俺の持論だ。この考えを押し付ける気なんて更々無いから拾うも捨てるも好きにしろ。ただこんな考えの俺から言えるのは、お前が考えて決めた選択がこの先無駄になる事は無いから成功しても失敗しても納得出来る方を選べってくらいだな」

だから最初に言っただろ?相談相手を間違えてるってな。そう言ってぬるくなったコーヒーを一口。目の前には一点を見つめて考え込む若者が一人。人の考えを自分なりに取捨選択して落とし込める此奴を俺は結構気に入ってたりする。


さて、後ろの道がまだ短い若者はどんな答えを出すのだろうか。

2023.07.04朝「この道の先に」#06

7/3/2023, 11:26:25 PM