『神様へ』
昔の話だ。私の居た孤児院で、おまじないのようなものが流行ったことがある。この方法をしっかりと成功させれば、ほんの小さなお願いを神様が願いを叶えてくれる、というありきたりなもの。ただ、まぁその過程が問題だった。
実際に、当時おまじないの時点で成功した者はいない。私含めてだ。
さて、そんな子供たちを苦しめた、おまじないの方法はと言うと。
まずは適当な紙に水性のペンで願い事を書く。乾かしておく必要があるらしい。次にその願い事を消す。蛇口の水を使って。そしてその上から、一番最初に書いた願い事をもう一度書くのだ。これで枕の下に入れて眠れば、翌日には願い事が叶うという。
このおまじないの問題点は、蛇口を使って、水性ペンで書いたことを洗い流す必要がある点だろう。紙が破けることが当然の事のように起きた。その結果、皆が諦めてしまいブームが過ぎ去って行ったのだが。
ただ、願い事が叶わなかった訳ではない。職員たちが「なんのお願いしてるの?」と聞いて回り、簡単なものであれば翌日に叶ったからだ。私は翌日の昼食が少し豪華になった(料理が増えすぎて残したのは内緒)。本を貰った知り合いもいたとか何とか。全員の願いを頑張って叶えてくれたように思う。
案外、神様とは身近な人間のことを言うのかもしれない。
4/14/2026, 11:33:47 AM