病室からはちょうど見えない花火
音だけが聞こえてくる花火
街の花火大会に行けなかった夏
もう慣れた左腕の点滴
子供向けのキャラクターがテープに描かれている
そのキャラクターが特別好きではないけど
見守られている感覚に癒されていた
絵を描いたり天井の模様を見たり
ただ寝転がって過ごした
決まった時間に運ばれてくる食事
おやつのたまごボーロが少し苦手だった
トイレに行くのが億劫だった
歩くのも辛かった
同じクラスの喘息持ちの子と廊下ですれ違って手を振った
退院の日の帰りのエレベーター
閉まる扉の向こうで
看護師さんたちが笑顔で手を振ってくれた
これは、小学二年の夏休みの思い出
8/3/2023, 5:34:03 AM