通りすがりの5歳児

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明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。

明日も早いからもう寝ようと電気を消し、布団で横になった時ふとそんな事を思った。

いつも通りに過ごすのは勿体ない気がするから貯金全部を使って豪華な料理を食べて、ずっと行ってみたかった場所に旅行するのもいいかもな…それとも…

なんて考えていたら部屋のドアが開かれカチッと電気が付けられたかと思うと、同居人がSwitchの充電器どこ!?と慌てた様子で聞いてきた。

どうやらSwitchの充電が危ういらしい

たしか…その棚の下から2番目あたりにある、そう伝えると同居人はおっけ!なんて言いながら棚の中を探し始めた。
お前自分のSwitchの充電器どうしたんだよ?と布団に横になったまま聞くと
何故かボックスの中にちゃんと仕舞っておいたのに無くなったと言っているがどうせ此奴の事だ、ボックスの中がゴチャゴチャで見つけられないだけだろ…と思った。

この同居人料理は得意だが整理整頓は下手くそだし見つけるのも下手くそでこの間も目の前に置いてあるのに俺のイヤホン無くなった!なんて騒いでいた。

「ちゃんと仕舞ったなら無くならないだろ、よく見ろよ」とため息混じりに呟いたら無事俺のSwitchの充電器を見つけた同居人が充電器をコンセントに挿しながら
「不思議だよな〜完全に神隠しだわ」なんて意味のわからんこを言いながら俺の部屋でゲームの続きを始めた。

「お前充電器見つけたんなら自分の部屋戻ってやれよ」
そう言うと同居人は
「え〜?部屋戻るの面倒くせぇ、良いじゃん静かにやるから!」なんて言い出した
良くない俺はお前と違って明日早いんだ、なんて言っても此奴は聞かないだろう。
仕方が無いので静かにやらなかったら即追い出すし充電器も貸さないからな!と釘を刺して同居人が付けた電気を消し、小さく聞こえてくるゲーム音を聞きながら俺は眠りについた。


━━━明日世界が無くなるとしたら、なんて考えはいつの間にか消えて無くなっていた━━━

5/6/2023, 1:28:46 PM