白糸馨月

Open App

お題『どうすればいいの?』

 素直に親の言うことばかり聞いてる人生だった。ちいさい時、私が絵を描いてたら「スポーツも覚えなさい」と言われて、運動嫌いだし、部活に入って迷惑かけるだけなのに「運動部にいたら、根性あると見なされて就職がよくなる」と親に言いくるめられて好きでもない運動を続けてきた。
 大学で入りたい学部もあるにはあった。だけど、親が「資格がとれるところじゃないとね」と言われてそれに従った。
 もうこの頃には親に逆らうことはとうに諦めていた。一度「やりたくない」「私はこれがやりたい」と言ったら、親に「どうして言うこと聞いてくれないの?」と泣かれたからだ。それ以来従うだけ。
 一人暮らしも親に禁止された。「結婚するまでお金をためなさい」と言われたからだ。
 だけど、最近初めて男の人とデートする機会があって、「君はなにが好きなの?」「どこへ行きたいの?」と言われてなにも答えられなくなることがあった。
 考えあぐねているうちに男の人はつまらなさそうな態度でその場ですぐ解散になった。
 その時、どうしていいか分からなくて咄嗟に親に電話した。
「わたし、どうしたらいいの?」
『そんなこと自分で考えられるでしょ?』
 そう言って電話を切られた。私は途方に暮れ、その場で膝をついた。本当に親に言われないとなにも考えられない人間であることを私は改めて思い知った。

11/22/2024, 3:03:53 AM