シロツメ ナナシ

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『君に』


私はこの人生の
…人生という名の冒険の
「意味」と言うものを
見失いかけていた
いや…、既に見失っている

なりたいものになる
やりたいことをやる
素敵な人に出会う
知らないものを知る
天寿をまっとうする

……あるにはあるけど、
その喜びというのもに対して
逆に…恐怖を覚える日が来るなんて…

いつまで頑張ればいいのだろうか?
いつまで笑っていられるだろうか?
いつまで…
…そう考えれば考えるほど
私はひたすらドツボにハマっていた

ある意味では答えは簡単だ
それら全ての答えは「死ぬまで」なのだ
みんな追いかけ続けていいんだ

ただ私がいちばん恐れているのは
それらを追いかける気持ちが
途中で無くならないか?
と言う、自分で自分に対する
心の不安なんだと気が付いた
現にそれを私は既に
失いつつあるから
この残った情熱という名の灯火も
あとどれくらい付いててくれるだろう

そんな不安に駆られる中
その日は突然やってきた―――

………………火が―――


本当に真っ暗だった
全てが絶望にしか見えなかった
見える全てがそう見えた
そんな地獄の中に……

暗闇なのに
自分の未熟や弱さや傷ばかり
見えてばかりで仕方がなかった

自分さえも怖かった
自分という存在が
自分をいじめ続け
自分が信じられなくて
自分が怖かった
自分が許せなかった
自分をいつまでも恨んだ


私は地獄をさまよった
ただひたすらに
生きるために生きるように
見えない道を進んでた
これを旅と言っていいのなら
酷すぎる旅となった

旅は…、
全くの無意味だった
あんなに長い間苦しんだのに
必死に乗り越えいきたのに
戻ってきた私は
そこからみるみるうちに
……元に戻ってしまった

…だけど、
これでほんの少し
見方が変わった気がする
結果的にいえば
これが―――「私」
旅という振るいに
自分をどれだけかけても
どれだけ搾りに搾っても
どうしても残るこれらが
きっと………「私」

この「私」は、
どう転んでもどう頑張っても
どんなに醜くても残念でも
私が愛すべき「私」なんだって
無条件に愛すべき存在なんだって


そんな私が
君に言えることなんて
そんなに無いけど
ひとつ、言わせて欲しいかな


ここまで
―――よく、がんばったね


〜シロツメ ナナシ〜

4/4/2025, 5:47:35 AM