みんな俺を置いて行ってしまう。
不衛生な路地裏でお腹を空かせるながら、わずかなパンを分け合った孤児たちも、
命の危機にさらされながらも背中を預け日々を笑いあった戦友たちも、
俺を残して逝ってしまった。
俺はその後ろ姿を見つめることしかできずに、ぽつんと一人たたずんでいる。
「行かないでくれ」
その言葉は彼らの背中に虚しく響く。
彼らの笑顔をまぶたの裏に思い出す秋の雨の日々。
また一人ぼっちになってしまうのではないかと恐ろしく、不安な長い夜を過ごすのだ。
10/24/2022, 2:13:10 PM