邪竜よ
私は貴様を討ち滅ぼすことはできなかった
だが、まだ敗北はしていない
確かに貴様は強い
私では勝つことはできないだろう
しかし、貴様を倒すことができればそれでいいのだ
私の肉体はもうじき滅びる
ならば、私の体を巡る消えない焔は、私を慕う人間たちに託そう
私の力を人に継承すれば、肉体が耐えきれず崩れ落ちてしまう
だが、私の選んだ何名かに分けて与えれば、強力な戦士となるだろう
その時こそ、貴様の最期だ
戦士たちは貴様を討ち、勇者と呼ばれるようになる
人間の平穏は、人間自身の手によって守られるのだ
……さあ、人よ
私の力をその身に宿せ
聖竜よ
さらばだ
いかにそなたが強き意思を以て我に向かおうとも、その焔は届かぬ
消えない焔など存在しない
我の絶対なる破壊をもたらす嵐の前では、いかなる存在も無力
だが、勝てぬと理解しながらも我との戦いに臨んだこと、賞賛に値する
ゆえにせめてもの情けだ
穏やかに逝けるよう、苦痛は与えず死をくれてやろう
そなたの強き魂は、我の心に深く刻まれるであろう
そして、聖竜が力を継承した人間たちよ
与えられたそなたらの力、存分に振るうが良い
我は一切の慈悲も与えず、全身全霊で滅ぼそう
それにより我が望みは達成される
……さあ、人よ
我の力をその身に刻め
10/27/2025, 11:26:01 AM