紙の擦れる音がやけに響く。
同時にペンが走る音が小気味よく聞こえる。さながら楽器を奏でていようだと感じた。
「……ひっどい点数だな、受験生!!!」
実際はただの採点なんだけれど。
彼女のしかめた顔がやけに面白くて、笑いを堪えていたら怒られた。
「夏休みが終わって!受験に向けてあと何ヶ月だと思ってんの!?やる気あるの!?」
「ないねぇ」
「話にならない帰る」
「まぁまぁ落ち着いてください」
その瞬間、彼女は参考書を丸めて頭を引っ叩いてきた。
「誰のせいでこうなってると思ってる!!」
「女神が救ってくれると信じています。ラーメン。」
十字を切る真似をすると大きな舌打ちをしてもう一度参考書で引っ叩いてくる。地味に痛い。
「……私と同じ学校行きたいなら血反吐吐くわよ。」
「俺と一緒におちてくれないの?」
「向上心のない人はイヤ」
女神は祈りを捧げてもそっけない。常に上を向く彼女はずっと前進し続けるのかもしれない。そろそろ腹を決めて後ろをふらふらする生活を改める時か。
「私だって受験生よ、せめて並びなさい」
女神のありがたい御言葉に、俺はソーメンと呟き真面目に十字を切った。
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9/3/2025, 9:07:00 AM