今日も出来なかった。
仕事も、完璧にこなせず、家に帰って散らかった部屋を見てため息をつく
どうして私はこんなにダメになってしまったのだろう。
疲れが全く取れず、いつの間にか月に1度くるものも止まり
肌は荒れ、次の日を迎えるのが辛くなった。
生きるのが…辛い。
仕事場でミスを繰り返し、頭ごなしに叱られる日々の繰り返しになにもかももうどうでも良くなり、
身を投げようとしたある時、ある指輪を拾った。
金色に光る指輪を見て、
恋人、結婚、そんなことに憧れてたな、なんて何気なく左手の薬指にはめてみたら
今までいた踏切前とは全く異なる森の中にいた。
身を投げるつもりだったが、やはり恐怖はあるもので
突然の空間の相違に頭は混乱していた。
『え、あれ、ここ、どこ……もう、なんでっ……』
頭が混乱して涙も溢れてくる。
もう嫌だ、なにもかも、もう…
ぐすぐすと泣きたくもないのに涙が出てきてその場にうずくまった。
「…主様?」
急に頭の上から降ってくる声にビクッと体を震わせた。
「…やっぱり、主様なんですね」
体がうずくまったまま硬直した。
その姿がとても情けなく、顔を上げることができない、
「もしかして、どこか具合でも悪いのですか?すぐに屋敷に…!」
そう言うと私の体が宙に浮いた。抱き抱えられている。
…いつぶりだろう、誰かとこんなに触れ合うのは
「すぐにルカスさんに診てもらいますので…」
抱えられて、人の温もりを感じたからか、疲れがどっと押し寄せられて気付けば意識を手放していた
つづく
11/2/2023, 1:16:47 PM