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部活中、突然雨が降り出して、毎朝きっちりセットしてる髪が崩れてしまった。
早く直そうとヘアワックスを探すけど、今日は生憎忘れてきてしまった。
しかも、色んなダチに貸してもらえないか尋ねても、みんな忘れたり切れたりで誰も持っていなかった。疫病神でもいるんじゃないだろうか。
そのまま部活が早く終わってしまったので、先輩のもとへ急ぐ。
彼女は晴れてる日はベンチで待っててくれてるけど、雨の日は図書室にいるのだ。
階段を駆け上がって扉を開けると、先輩は一人きりで静かに本を読み進めていた。
「先輩!帰りましょう!」
俺が声をかけると、先輩は立ち上がって俺を見た。
「あ、もう終わったんだ。じゃあ帰ろ…って、その髪…」
あぁ、最悪だ。
先輩にこんな姿見られて、カッコがつかない。
俺が落ち込んでいると、彼女の口からは思いもよらない言葉が発せられた。
「へぇ、濡れるとそんな風になるんだね。なんか新鮮…その髪もかっこいいよ」
「えっ…!!」
その言葉を聞いた瞬間、だだ下がりだった俺の気分は一気に元に戻った。
「へへ、そ、そうッスか?」
「うん。私はいいと思うけど」
そう微笑む彼女。
…お世辞かもしれないけど、それでも凄く嬉しい。
我ながらチョロいな、なんて思いながら、先輩と図書室を後にした。

【2023/06/06 最悪】

6/6/2023, 2:49:13 PM