午下り、限られた時を守る静寂の帳
細い肩を震わせてあなたは嘆く
とうに終えた物語、傍に翻る頁の為に頬を濡らして
剥がれることのない祝福/呪縛を
覆ることの許されぬ因果/宿痾を
もはや爛れて無味で通す喉に代わり、あなたが嘆く
掠れた声で繰り返し、消えた世界の為に乾く
どうして、どうして
あなたがあんな目に遭わなくてはならなかったのか
誰よりも傷付いたあなたが、何よりも惨い終結へ至る
ひどいよ、苦しいよ
せめて分かり合えたならどれほど良かっただろう
共に生きられたなら夢のようだった
愛し合える未来へ繋ぎたかった
息遣いすら煩い回廊の片隅で、嘆く声だけが駆け抜ける
そして私はそっと手を差し出す
儚い希望を潰したのは、あなたであり私
断ち切った可能性は、言い換えれば癌だったのだから
あなたが膝を痛める必要はない
目を腫らす前に、いつか本当に折れてしまわないように
拉げて血を流す心はあなた自身に救ってほしい
既に終わった私の為に、どこかで終わった誰かの為に
今を生きるあなたを消耗しないでほしい
やがて消える私からあなたへ告げる、ただ一つの祈り
失われることのない光を
何にも敗れぬ運命を、あなたに
そして時々、思い出して
共に歩む果てを願ってしまった、愚かな影がいたことを
愛した人の心の片隅に居場所があるのなら
月の照らさぬ夜に幻想であろうと寄り添えるのなら
それだけで私は満たされている
これ以上なく満たされているのだから
(涙の理由)
9/27/2025, 12:23:54 PM