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『喪失感』


死んだらそこでお終いだ。

死のうと思えば何時でも死ねる。
けれど一度死んでしまえば、二度と生きることはない。

何時か誰にでも訪れるそれには、恐怖というより虚しさを覚える。

宇宙が誕生してから137億年。
その中の一瞬にも満たない時間、まるでバグのように産まれてしまった私に、一体なんの意味があるというのか。

死んだらそこでお終いならば、如何して私は産まれてきたのか。
生きていることの方が不自然だと、そう考えるのは自然じゃないのか。

一寸にも満たない虫《バグ》がいて、それが生死について考える。
誰がそんな与太話を、信じて聴いてくれるというのか。

産まれてしまったが故に、死ななければならないならば。
産まれなければ死なずにすんだと、空虚なことを言うのであれば。

この世で命を獲得《喪失》した時、既に私は死んでいたのか。
既に私は死んでいて、終わった世界を生きているのか。

ならば私が感じるこの喪失感も、"夢中に夢を説く"ような、取り留めもないことなのだろう。

9/10/2023, 10:40:48 PM