ゆーがめ 普通イカの高校生

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『後悔』

あの日のことを、いつまでも、いつまでも、
覚えている。
それも、ものすごく、鮮明に。
何度も、何度も、その映像が脳内で再生される。
何度も、何度も、その声が脳内で再生される。

僕には姉がいた。
僕は当時、反抗期で姉ちゃんとはあまり一緒にいたくなかった。
優しくしてくれる姉ちゃんと話すのが、なんとなく恥ずかしかった。
とある日、僕と姉ちゃんは母さんから買い物を頼まれた。
なんとなく、嫌だったけど、一緒に行くことにした。
普通に買い物をして、なんだか幼い頃に戻ったみたいだった。
でも、その帰り、事件は起きた。
誰かに、後をつけられている気がした。
そう横を見た瞬間、

姉ちゃんが、刺されて、倒れた。

その胸には刃渡り15cmくらいの、包丁が突き刺さされた。
そのすぐ横には、走る男の姿が見えた。
僕は、怖くて逃げようとした、その時

「たす…けて」

姉の、かすれた声が聞こえた。
でも、僕は逃げ出してしまった。
急いで家に戻り、母に起きたことをすべて話した。
───もう、手遅れだった。
だから僕は、
今日のことを、いつまでも、いつまでも、
覚えている。
それも、ものすごく、鮮明に。
何度も、何度も、その映像が脳内で再生される。
何度も、何度も、その声が脳内で再生される。
たすけて、と。
姉は僕に助けを求めた。
それでも僕は逃げ出した。
後悔。
人生最大の、後悔をしている。
僕がもしあのとき、助けられていたのならば、姉は助かっていたのかもしれない。
姉ちゃんは、今も生きていたかもしれない。

後悔。
後悔。

5/16/2024, 9:28:05 AM